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訪問診療への思い── あなたの「特別室」で、最期まで

自宅は、お金を出さなくても得られる「特別室」。父も妻も、自宅で最期を看取った経験から、その人らしい最期を整える在宅医療への思いをつづります。

「病院ではお金を出せば特別室に入院できます。でも、自宅で過ごすことができるのは、お金を出さなくても得られる、あなたにとっての特別なお部屋なのです。」

杉浦医院は先代の杉浦裕先生の時代から、在宅医療を手掛けてきたクリニックです。当時は、通院が難しくなってきた15名ほどのかかりつけ患者さんが、在宅医療へ移行されることがほとんどでした。

訪問診療との出会い

私自身が初めて訪問診療と出会ったのは、初期研修時代のこと。淀川キリスト教病院での研修中に、北海道での地域医療実習へ参加し、2週間泊まり込みで在宅患者さんのもとへ訪問する経験を積みました。

在宅医療を志したきっかけ

そもそも私が医師を志したのは、胃がんで亡くなった母の存在があったからです。ある朝、入院先から「お母さんが帰ってきたよ」と告げられ、駆け付けると——すでに冷たくなった姿でした。いつか生きて帰ってくると信じていた母との最後の対面が、その瞬間だったのです。その悲しみが、私が在宅医療を広めていこうと思うきっかけになったかもしれません。

いつもの部屋で、いつも通り過ごして最期を迎える。
そんな在宅医療を提供できるように、杉浦医院での診療を続けています。

父と妻を、自宅で看取って

その後、間質性肺炎による慢性呼吸不全で亡くなった父も、胸腺がんで亡くなった妻も、自宅で最期を看取ってきました。

父は亡くなる前日、大好きなデイサービスの途中で体調が急変し、急いで往診しました。「僕と同じクリスチャンになろう」と伝えると、小さくうなずいてくれた父。すぐに牧師を呼び、式を執り行いました。そして翌朝、静かに息を引き取りました。

妻は2度の大きな手術と、つらい抗がん剤治療に向き合い続けました。それでもがんは進行し、最期は自宅で子どもたちとともに過ごすことを選びました。意識が薄れゆく中で、子どもたち一人ひとりと将来の話をした数日間。私が毎晩添い寝したベッドで、安らかに旅立ちました。

父も妻も、自分にとっての「特別室」で最期を迎えることができました。

杉浦医院の在宅医療が目指すこと

その人らしい最期を整えること——それが私にとっての在宅医療の本質であり、杉浦医院が大切にしてきたことです。どうか、最期まで「自分の場所」で過ごすことを、あきらめないでください。

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